静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

流速制限

液面電位または液体の帯電はタンクの大きさ・形状**,中心導体柱の存在(中心導体柱は最大電位を下げる),液体の性状,タンクが固定か可動か等に影響するので,流速もこれらに依存する. [確認事項] 液体流動の帯電を抑制させるためその速度を制限する対…

液体の配管輸送

チェック項目36 液体流動の帯電性調査 液体が配管等を流れるとき,液体と壁との境界には必ず電気二重層を形成して,一方の極性の電荷は液体とともに流れ,他方の電荷は壁に残る.この帯電量はパイプと液体の導電性のほかに,流速,配管径などに依存する.接…

液体帯電ハザードとなる種々の工程・作業

チェック項目35 工程・作業は液体の帯電ハザードとなるか 液体の帯電は異種の物質が接触する界面に正・負どちらかのイオンが選択的**に集まることから起こる電荷分離によるものである.たとえば,液体が流動することによって容器や配管で電荷分離して帯電す…

液体の流動

10.3(液体の帯電)で述べたように液体の帯電も界面での電荷分離によって生じているが,この液体が流動していると,界面に残された電荷(イオン)と反極性の電荷(イオン)が液体とともに流れることになり,ほとんどの液体に関する工程および作業では,流れ…

液体の帯電

液体の帯電現象は,A.2.1(電荷分離による帯電)で説明した電荷分離によるものであり,液体--固体,液体--液体,液体--気体の界面で電気二重層が形成されている.この二重層は正・負どちらかの荷電粒子が選択的に界面に吸着することによって形成され,この荷…

液体の一般的なリスク低減策

リスク低減策 接地による絶縁導体の排除 タンク,タンク内構造物,金属容器,液面フロートなど,人体も含めて,すべての導体を適切に接地して火花放電を防止する. 電荷発生の制限 流速制限 電荷緩和の利用:滞在時間は一相液体では少なくとも3𝜏 (= 𝜀/𝜎 緩和…

静電誘導と導電率ーつづき

前(2022年12月12日)に静電誘導と導電率の関係,つまり,電荷緩和時間に応じて誘導電荷が現れることを示した.このとき,静電誘導が現れる物体は接地しているとした.ここでは,この物体が絶縁されているとして計算する. 物体が絶縁されている場合 図3aに…

液体取扱の一般的なハザードー放電ハザード

チェック項目34 起こりうる着火性放電のタイプは何か [ハザード] 液体取扱工程・作業では火花放電,ブラシ放電および沿面放電による着火ハザードがある. 事故事例から絶縁導体(作業者も含む)による火花放電が最も多い. 接地導体と液面間で起きるブラシ…

引火点によるマージン11℃以下を15℃以下に変更(戻す)

引火点は液体蒸気によって可燃性雰囲気が形成されるかの指標に用いられる. これまで,ガイド「静電気リスクアセスメント」では 「管理された条件下で液体温度が,純粋液体では引火点の少なくとも5℃以下,また,混合液体では引火点の少なくとも11℃以下であれ…

液体取扱の一般的なハザードー帯電ハザード

チェック項目32 電荷発生を促進させる要因はないか チェック項目33 電荷緩和を抑制させる要因はないか [ハザード] 帯電の促進は電荷発生の促進と電荷緩和の抑制によるので,それぞれを調査する. 接地と絶縁導体 金属タンク・配管などの大きな導体から作業…

液体取扱の一般的なハザードー液体蒸気による可燃性雰囲気の形成ハザード

液体取扱のハザード同定の 液体蒸気による可燃性雰囲気の形成ハザード 帯電ハザード 放電ハザード について順に説明する.今回は,液体蒸気による可燃性雰囲気の形成ハザードについて同定方法を簡単に示す.詳細は3章を参照. チェック項目31 液体蒸気に…

静電気リスクアセスメント2022

アップロードしていたつもりだった,2022年改訂のガイド「静電気リスクアセスメント2022」 をシェアします.来年早々にも更新したいです.

静電誘導と抵抗率

静電誘導は導体に関わる静電気現象である.導体の自由電荷(固体導体だと自由電子)が外部電界のよって表面(理想的な導体は導体内部の電界は0)で移動し,結果として表面で鉛直方向の電界のみが現れ,表面で同電位にする表面電荷分布となっている.つまり,…

表面電荷密度の測定

ロール工程 で表面電荷密度によるハザード同定を示したので,表面電荷密度の測定法を紹介します.これは,「静電気リスクアセスメント2023」での改訂で追加する予定です. 帯電した絶縁性物体の表面電荷密度は,電界計または表面電位計を用いてその測定値か…

爆発物の取扱

ここでは,火薬,爆薬または火薬や爆薬を加工した火工品などを総称して爆発物と呼ぶ.形態は,固体,粉体,液体と様々である. [ハザード] 絶縁導体(作業者も含む)は火花放電により,爆発物の発火を引き起こし,甚大な被害になる可能性がある. [リスク低…

ロール工程

ロール工程は,ロールに巻き取られた薄いシート状材料をローラを用いて搬送しながら、材料に種々の処理をする工程であり,通常,最終的にロールに巻き取られる.この工程はロールtoロールとかウエブとも呼ばれる.ローラで搬送される材料自体をウエブ*と呼ぶ…

駆動ベルト

[ハザード] プーリを介して動力を伝達する駆動ベルト(フラット(平)ベルト,Vベルト)は,エンドレスベルトとプーリの接触面で連続的な電荷分離があるので帯電ハザードがある.帯電量は,ベルトの材質に依存し,ベルトの速度,張り,接触面積の増加ととも…

コンベアベルト

[ハザード] 固形物・粉体のコンベアベルトやロール工程などの駆動ベルトは,エンドレスベルトとローラまたはプーリの接触面で連続的な電荷分離があるので帯電ハザードがある.帯電量はベルトやロールの速度,張り,接触面積の増加とともに大きくなる 接地さ…

ゴム・プラスチック等の練り・剥離・研磨

[ハザード] 以下に示すような工程は静電気の発生が大きく,その防止が困難であるので,可燃性雰囲気が形成されないような対策を実施する. ゴム,プラスチックの練り 練りの作業よりも材料の投入・取り出し時に着火する事例が多い.原因は作業者または絶縁導…

放電電荷による着火性評価

起こりうる最大の帯電を想定して,これに対する着火試験[24]-IEC61340-4-4によって直接に着火性を評価するのが一つの方法であるが,空気中の放電で放電電荷を測定する[11]ことにより,表9.3に示す可燃性雰囲気に応じた放電電荷のしきい値を用いて火花放電お…

イオンの空気搬送

エアブローを用いてイオンを搬送したり,圧縮空気でチューブ内をイオンを輸送する[23]などイオンを空気輸送する機能が付加された除電器がある.被除電物体から離して除電器を配置できるので,着火源となりうる電源などを有する除電器本体を非危険場所(区域…

軟X線式除電器

軟X線はX線(0.001–10 nmの電磁波)のなかでも比較的に長波長(0.1–10 nm)で透過力の弱いX線である.この軟X線の光子が分子(空気)と衝突したとき,分子から電子が飛び出し,分子は正イオンになる(光電離).この電子はほかの分子に付着して,負イオンを…

放射線式除電器

放射性同位元素の電離作用によって除電のためのイオンを生成する除電器である.Polonium-210の𝛼線を用いたものが主流である. [ハザード] この除電器はそれ自身が着火源になることはないが,放射線源を保有しているので法規に従い,取り扱いに注意する. 除…

電圧印加式(アクティブ)コロナ除電器

ひとつまたはいくつかの放電針(または細線)に5–10 kV程度の直流(正・負の放電針)または交流電圧を印加して生成したコロナ放電を用いて除電する装置である. 多くの商用コロナ除電器があるので,イオン供給がプロセスに適合するか,正・負イオンのバラン…

自己放電式(パッシブ)コロナ除電器

接地した尖った金属・細線(金属針,導電性細線など)を配置して,コロナ放電を発生させて帯電物体の電荷を除電する方法である. このコロナ放電は尖った金属・細線の近傍に空気を絶縁破壊させるほどに高い電界が帯電物体によって形成されているときにのみ起…

絶縁性固体の静電気対策ー除電

空気を何らかの方法により電離させて,生成したイオンの電荷により帯電した絶縁性物体の電荷を中和して除電する方法である.巨視的に見れば,空気の導電率がイオンにより高くなり,これにより電荷緩和しているのと等価である. 特に,絶縁性固体材料のプラス…

第31回静電気RA研究委員会・WG

第31回静電気RA研究委員会・WG の備忘録です 袋内で着火したインシデント報告(NTさん)から,疑問:帯電したウエットケーキがPE袋内にあり,袋の外側で接地導体が近づいたとき,袋内で放電するか?袋の中身は絶縁性のウエットケーキ(帯電している)のみで…

絶縁性固体の静電気対策ー加湿

絶縁物表面の抵抗は加湿(相対湿度65%以上)により,電荷消散性のレベルまで低減できることがある.これによって接地までの電気伝導(電荷緩和)の経路が確保できると電荷の蓄積を抑制できる. ガラス,紙,ナイロン,PMMAなど水分を吸着しやすいものには効…

絶縁性固体の静電気対策ー静電遮へい

危険場所で絶縁性物体を使用する必要があるとき,そのハザードを静電遮へい(シールド)によって抑制できる. 静電遮へいは静電気の帯電が危険となる絶縁性物体を接地した導体あるいは導電性材料で覆いまたは区画化して静電気の帯電の危険性を抑制する方法で…

絶縁性固体の静電気対策ー面積・幅の制限

主に着火性ブラシ放電防止の対策である. 可燃性ガス・蒸気およびハイブリッドの危険場所で絶縁性物体を使用する必要がある場合は,表9.2 着火性ブラシ放電を防止するための絶縁性物体面積・幅の制限に示すようにその面積・幅を制限することによって,着火性…