高粘性液体
高粘性液体は動粘度が30 cSt(センチストークス:mm2/s)以上の液体であり,一般に,30--100 cSt程度である.多くの燃料や溶剤などの低粘度の液体(約 1 cSt)よりも帯電しやすい傾向がある.
[ハザード]
- 高粘性液体は,その粘性のため荷電粒子の流れも阻害されて,低粘性液体に比較して電荷緩和が著しく長くなり,結果的に帯電しやすくなる.
- このため高粘性液体では,導電率が0.01 pS/m程度まで低くなる場合は,1時間以上も電荷を保持することもある.
- したがって,可燃性雰囲気が形成される場合は,10.7充てんに示した通常の液体の流速制限は適当ではない.
- フィルター,濾過器などでは,さらに帯電するので,滞在時間および電荷緩和長による対策も有効ではない.
- 幸いなことに,ほとんどの高粘性液体は高導電性液体(原油など)または,可燃性雰囲気を形成しにくい揮発性が低い液体(機械油など)である.そのため,着火ハザードとはなりにくい.
- しかしながら,スイッチローディングなどで,低導電率・高粘性液体の機械油などを,前荷が揮発性液体であったタンクローリーに充てんするときなどは着火ハザードとなる.
- 高粘性液体の信頼性の高い流速制限は見つかっていないので,このように低導電率,高粘性液体を取り扱う場合は可燃性雰囲気を形成しない対策(たとえば,不活性化)が必要になる.
[確認事項], [リスク低減策]
次の対策がなされているか確認する.
- 導電率および引火点をベースにして対策する.
- 上記のハザードに示したように著しく導電率が低くなり,可燃性雰囲気が形成されるおそれがある場合はこれを防止する対策(窒素パージなど)を実施する.