静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

沿面放電

チェック項目28 沿面放電の可能性 A.3.9, A.3.13.2および9章も参照されたい.沿面放電のエネルギーは高いので,生起すれば着火する確率は高い.したがって,着火性の調査はせず,6.4.1および6.4.2から,沿面放電が発生しうる場所(絶縁層)を特定することに…

接地導体表面の絶縁性コート・ライナー上のブラシ放電の着火性

接地導体表面の帯電した絶縁性コートおよびライナー(内袋)で発生するブラシ放電の着火性は,コート・ライナーの誘電率,厚さ,表面電位から求まる放電電荷の統一式(A.19) または(A.21) と放電電荷と着火性の関係を示した表9.3を用いて見積もるとよい.

放電電荷

放電電荷測定(D.12)による測定電荷が可燃性雰囲気に対応する最大許容放電電荷(表9.3)以下となる場合はその帯電物体からのブラシ放電はハザードから除外される.なお,最大許容放電電荷は火花放電にも適用できる.

ブラシ放電と表面電荷密度

絶縁性物体の最大表面電荷密度を1 µC/m2 (IIC), 3 µC/m2 (IIB), 5 µC/m2 (IIA)以下であればブラシ放電による着火リスクはない. これらの数値は,以下から求められている—帯電した絶縁性物体からの放電による水素,プロパンの着火実験において,水素では絶縁…

ブラシ放電と帯電電位

絶縁性物体の表面電位から可燃性雰囲気の着火エネルギーと比較して,着火性ブラシ放電の可能性を見積もることもできる. 絶縁物表面電位による着火性ブラシ放電の可能性は A.3.8のブラシ放電の帯電電位と放電エネルギーとの関係(式(A.13))を示した図A.10の…

ブラシ放電と表面抵抗

物体の表面抵抗率(表面抵抗)が109 Ω (108 Ω)よりも高く,1012 Ω (1011 Ω)よりも低い場合は,たとえ接地されていなくても,火花放電もブラシ放電も起こらならないとされている[14].ここで,表面抵抗率が表面抵抗の10倍になる関係は,表面抵抗測定電極の寸…

ブラシ放電と面積・幅の制限

ブラシ放電を防止するために絶縁物表面の面積・幅を制限する対策(9.6.3)がある.この面積・幅以下のものはブラシ放電ハザードから除外できるが,これを超えるもので帯電ハザードと同定された絶縁性物体は着火性ブラシ放電が生起する可能性がある.

粉体空気輸送とブラシ放電

粉体の空気輸送では,タンク・サイロ内で起こるブラシ放電を避けることが困難である.可燃性ガス・蒸気で着火エネルギーが4 mJ以下の可燃性雰囲気が形成される場合は可燃性雰囲気の形成を防止する必要がある.

液面からのブラシ放電

液体のサンプリングなどでは,液面電位が負帯電では25 kV以上,正帯電では80 kV以上(80 kVでも着火しない実験があることから [13],これを正帯電のしきい値とした)のときに着火性ブラシ放電が生ずる可能性がある(A.3.8.2).液面電位を25 kV以下にする流速…

ブラシ放電の等価エネルギー

ブラシ放電の等価エネルギーは3 mJ程度までである.したがって,この同定では最大4 mJとする.ガス・蒸気の可燃性雰囲気の着火源となるが,粉じん可燃性雰囲気の着火源とはならない.したがって,粉じんのみの雰囲気ではブラシ放電ハザードは除外できる.

ブラシ放電の着火性

対象の工程に適合してもブラシ放電を解説しているので,ブラシ放電のハザード同定の詳細については9から11章の該当部も参照されたい.ブラシ放電の着火性は次の次項によって評価できる. ブラシ放電の等価エネルギー 液面からのブラシ放電 粉体空気輸送とブ…

ブラシ放電の生起場所

ブラシ放電が起こりうる場所は帯電ハザードに同定された絶縁性物体(固体,液体および粉体層表面 )が対象となる. 帯電した絶縁物と導体との放電であるので,帯電物体の近傍に接地導体(接地した電荷消散性物体・人体も含む)があるか,近づく必要があるの…

ブラシ放電の発生条件

ブラシ放電の発生条件は以下のとおりである(A.3.8) 絶縁物が帯電し,曲率のある(接地)導体が近づくときに起きる この曲率半径は5-50 mm程度 帯電物体の表面電界が0.5 MV/m (= 5 kV/cm)以上のとき

ブラシ放電

チェック項目27 ブラシ放電の可能性と着火性 A.3.8および9章も参照されたい.実験と長年にわたる実践的経験からブラシ放電は可燃性粉じん雰囲気では着火リスクは十分に許容できるほどに低い[6,11,12].ブラシ放電が発生しうる場所は帯電物体の表面であり,こ…

人体からの火花放電

人体からの火花放電の等価エネルギーは10 mJ程度までである(A.3.6.1).したがって,最小着火エネルギーが20 mJ以上の可燃性雰囲気では人体からの火花放電ハザードを除外できる.

放電ギャップ長

放電ギャップ長が対象の可燃性雰囲気に応じて表6.2の条件を満たすときに起きる火花放電は消炎効果からハザードから除外できる.ここで,この放電ギャップ長はブラシ放電にも適用できる.

静電容量ー火花放電の着火性

可燃性雰囲気の着火性(Explosion group)に対して許容できる導体の最大静電容量との関係(9.1.1)から着火性火花放電の可能性を確認できる.これについては,静電誘導ハザード同定の5.2.5でも調査している.表9.1に示すように絶縁導体の静電容量が,可燃性雰囲…

最大帯電電位と最大電荷量

導体の帯電電位は式(A.4)ののように漏洩抵抗に依存する.また,帯電電荷量は式(A.5)のに示したように緩和時間(漏洩抵抗と静電容量の積)に依存する.産業レベルの静電気の発生電流は100 µA (=1 × 10-4 A)を超えることはまずないので,この電流値を用いて,…

火花開始電圧

火花開始電圧は330 Vであるので,放電が起きるためには帯電電位として>330 Vが必要である.この帯電電位は式(6.1)により見積もることができる.この火花開始電圧をもとに安全マージンを考慮して,静電気対策では,帯電電位を100 V以下にするための導体および…