静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

ブラシ放電と表面電荷密度

絶縁性物体の最大表面電荷密度を1 µC/m2 (IIC), 3 µC/m2 (IIB), 5 µC/m2 (IIA)以下であればブラシ放電による着火リスクはない.

これらの数値は,以下から求められている—帯電した絶縁性物体からの放電による水素,プロパンの着火実験において,水素では絶縁性物体の帯電の最小電荷密度が負帯電で-3.8 µC/m2,正帯電で+17 µC/m2,また,プロパンでは負帯電で-7.4 µC/m2,正帯電では着火しないことから,着火性の放電が生じない安全な最大表面電荷密度を-3 µC/m2, +5 µC/m2としている[15].IIAの雰囲気では,正帯電によるブラシ放電は着火リスクを許容できるとしてよいだろう.

なお,ブラシ放電の等価エネルギーは3 mJ程度までであるので,これを十分に超える着火エネルギーの雰囲気ではブラシ放電で着火することはない.これらの最大表面電荷密度としたときの絶縁物の表面電位を数値計算で求めることもできる.