静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

絶縁性固体のハザード

[ハザード] 絶縁性固体物体のハザードは帯電して起こるブラシ放電および沿面放電による着火と静電誘導の原因となることである. 絶縁性固体は配管,容器,シート,コート,袋,ライナーなどに用いられ,電荷緩和が著しく小さいため電荷を蓄積しやすい. 絶縁…

絶縁性固体

絶縁性の固体物体のリスクアセスメントについて次のように述べていきます. 絶縁性固体のハザード 絶縁性固体材料の利用の制限 接地導体表面の絶縁性コート 絶縁物への導電性・電荷消散性コート 絶縁性固体物体のリスク分析 絶縁性固体物体の静電気対策

接地が必要な導電性・電荷消散性物体

すべての導体(導電性・電荷消散性物体)に接地が必要なわけではない.火花放電のエネルギーは導体の静電容量に依存するので,可燃性雰囲気の最小着火エネルギーによって,小さな静電容量の導体の接地は必ずしも必要でなくなる. 帯電を著しく促進する要因,…

導電性・電荷消散性固体のリスク低減策(静電気対策)

[リスク低減策] 導電性・電荷消散性固体は,基本的に接地・ボンディングされなければならない.接地・ボンディングにより火花放電を防止することできる.導電性・電荷消散性固体のリスク低減策(静電気対策)は,導体の接地・ボンディングのみしかないので,…

導電性・電荷消散性固体のリスク見積

[リスク見積] ここでいう導電性・電荷消散性固体のリスクとは,導電性・電荷消散性固体が絶縁されたときに発生する着火性火花放電リスクのことである.着火性火花放電リスクは,6.2に示した火花放電のハザードについて調査して求められたハザードレベルをも…

導電性・電荷消散性固体のハザード

固体物体の静電気特性の抵抗率による導電性,電荷消散性および絶縁性のクラス分けは表4.2を参照する.固体の抵抗率と帯電性(表4.1)についても示しておく. [ハザード] 導電性・電荷消散性物体が電気的に絶縁されると,静電誘導,荷電粒子の蓄積または物…

固体のリスクアセスメント

ここまでは,開発手法の主要部の静電気リスク分析を示してきた.ここからは,静電気リスクアセスメントについて書いていきたいと思います.静電気の帯電ハザードおよび静電気対策は固体,液体,粉体,気体および作業者によって異なるので,それぞれ,9—13章…

リスク低減策ー静電気対策

静電気対策の5つの原則 ここでいうリスク低減策とは,静電気対策である.つまり,静電気対策は,着火リスクを十分に許容するまでに低減する科学的に保証された安全技術である.この静電気対策は次の5つの原則に基づいた技術である.これらのほかに何もないこ…

静電気着火リスク評価

工程・作業のレビュー(2.1.1.1)をもとに,可燃性雰囲気形成・帯電・静電誘導・放電ハザード同定および可燃性雰囲気形成・着火性放電可能性見積から着火リスクを評価をする.これに応じて必要なリスク低減策(静電気対策:9—13章参照)を実施し,対象とする…

静電気着火リスク見積

これまで示した可燃性雰囲気形成ハザード,帯電および静電誘導ハザードおよび静電気放電ハザード同定をもとに着火リスクを見積り,評価をする. 工程・作業のレビュー(2.1.1.1)をもとに,図7.1に示すように,可燃性雰囲気形成ハザード同定で得られた可燃性…

静電気放電ハザード同定シート

静電気放電ハザード同定のためのシートは表2.2の静電気放電ハザードの同定部である.この表は,ここに示した放電ハザード同定および着火性放電可能性の見積の手続きをまとめたものである.メモ欄には調査結果および除外の根拠,注釈,使用した測定法,参考文…

静電気放電ハザード同定のまとめ

ガイドにしたがって,工程・作業の場所ごとに同定された放電タイプの可能性と着火性から静電気放電ハザードレベルが求められる. 工程に依存する放電ハザードおよび固体,液体,粉体および気体の放電ハザードは9から12章も参考にすること.作業者に関する放…

静電気放電ハザードレベル

静電気放電ハザードと同定された放電のハザードレベルは,着火性と事故頻度から見積もった放電タイプごとの重み付けを用いてハザードレベル(火花: 5,ブラシ: 3,沿面: 3,コーン: 2,IICでのコロナ: 1)を決定する.

数値計算によるハザード同定

数値計算によってもハザード同定が可能である.例えば, ラプラス・ポアソン方程式を用いて,対象に合致させて絶縁導体,帯電物体および接地を配置させて境界条件を与えて電位分布を求め,これから静電容量および静電エネルギーを計算することによって,火花…

コロナ放電

チェック項目30 コロナ放電とIIC雰囲気の可能性 コロナ放電エネルギーは数十µJ程度までで,着火エネルギーが極めて低いガス(水素,アセチレン,硫化水素などのIIC)の可燃性雰囲気のみに対して着火源となりうることがある.IIC以外のガス・蒸気および粉じん…

コーン放電の着火性

コーン放電の等価エネルギーは数十mJ程度以下であり,文献[16]では20 mJ程度としている.コーン放電は ガス・蒸気,粉体の着火源になる可能性がある.100 mJ以上の可燃性雰囲気ではコーン放電による着火リスクは低い.200 mJ以上ではコーン放電ハザードは無…

コーン放電の生起場所

コーン放電は粉体の空気輸送(あるいはこれに相当する流量の輸送)中の容器・FIBC内に堆積した帯電粉体表面で生起する.F.2.3.4 コーン放電も参照する.コーン放電の発生条件と照合させて絞り込むとよい.

コーン放電の発生条件

コーン放電の生成のための正確な条件は求まっていないが,次の条件が満たされるときに多く起こるので,バルク抵抗率,充てん方法,流量,質量比電荷および粒径からコーン放電の可能性を同定する. 粒径が比較的に大きい:粒径1 mm以上で多く起こる 粉体の抵…

コーン放電

チェック項目29 コーン放電の可能性と着火性 A.3.10および11章も参照されたい.コーン放電が発生しうる場所は空気輸送充てん容器内であるので,以降の調査により着火リスクが許容できない場合は対応する静電気対策の実施または空気輸送を避けることによりコ…

沿面放電の着火性

沿面放電は放電エネルギーが極めて高いので,可燃性ガス・蒸気だけでなく可燃性粉体の着火源にもなりうる.

沿面放電の生起場所

沿面放電の発生には相当量に帯電した電気二重層が形成されることが前提である.過大評価の沿面放電ハザード同定が散見されるので,沿面放電の発生条件を満たす絶縁層を慎重に抽出されたい.以下に生起場所を抽出するヒントを示す. 電気二重層ができる薄い絶…

沿面放電の発生条件

沿面放電の発生条件を以下に示す(A.3.9) 比較的に薄い絶縁物の表と裏面に異符号の電荷の電気二重層が形成される この電気二重層が短絡することによって沿面放電が開始する 表面電荷密度が2.5 × 10-4 C/m2以上 絶縁層の厚さが8 mm以下 絶縁層の絶縁破壊電圧…