リスク低減策ー静電気対策
静電気対策の5つの原則
ここでいうリスク低減策とは,静電気対策である.つまり,静電気対策は,着火リスクを十分に許容するまでに低減する科学的に保証された安全技術である.
この静電気対策は次の5つの原則に基づいた技術である.これらのほかに何もないことを強調したい.
工程・作業に対応した個別の詳細な静電気対策はガイドの9—11章を参照されたい.
上記1—4に対応する9—13章および付録Bに示す静電気対策を実施することにより帯電防止または着火性放電の防止して着火性放電のリスクを低減する.適切にこれらの静電気対策が実施されれば十分にリスクを低減できる.
静電気対策とは,リスクを許容となる程度まで低減するルールのようなもので9—13章および付録Bに示したように難しいものではない.工程・作業に,このルールに外れているようなことを選択しているから,こんなとき静電気対策が困難となっているだけである.このようなときは,ルールに従うように工程・作業を見直すべきである.
それでもやむを得ず静電気対策が困難な場合は,上記5の可燃性雰囲気の防止を実施する.まずは,通風・換気で可燃性雰囲気を形成しないようにする.通風・換気で可燃性雰囲気の防止が困難な場合はイナートにより可燃性雰囲気の形成を防止して着火リスクを低減する.
安全管理と教育
多くの事故の根本的な原因は安全管理の不備である.的確に組織化された安全管理体制のもとに実施されるリスクアセスメントをベースとしてリスク低減策(静電気対策)がなされなければない.また,実施されたリスク低減策(静電気対策)はこの組織化された安全管理体制のもとに管理されなければならない.
組織化された安全管理には,的確な安全教育とリスクの伝達(リスクコミュニケーション)が必須である.このとき,何を防止するためにどのように対策しているのか,工程・作業にはどのようなハザードがあり,それによるリスクを低減する策(静電気対策)の根拠・意味と作業に伴うリスクを作業者に教育・周知することが極めて重要である.
これこそがリスク低減の根底になければならない本質であると思う.