絶縁性固体のハザード
[ハザード]
絶縁性固体物体のハザードは帯電して起こるブラシ放電および沿面放電による着火と静電誘導の原因となることである.
- 絶縁性固体は配管,容器,シート,コート,袋,ライナーなどに用いられ,電荷緩和が著しく小さいため電荷を蓄積しやすい.
- 絶縁性固体のハザードは帯電して起こるブラシ放電および沿面放電である.可燃性雰囲気では放電により着火ハザードとなる.なお,ブラシ放電は,経験・実験事実から粉じん雰囲気の着火源となることはない[6,11,12,14,16]
- 絶縁性固体の帯電は近傍に絶縁導体があると静電誘導ハザードを生起させ,火花放電ハザードとなる.絶縁性物体表面上の導電性固体・液体は,同様に絶縁導体となる.
- 層状の絶縁性固体(シートやコート)の表裏に逆極性の高密度の電荷が帯電すると沿面放電のハザードとなる.
- 通常,液体を取り扱う工程では沿面放電の生起は困難**であるが,空気輸送など帯電量が比較的に大きい粉体の工程に多い.
** ただし,内面絶縁性コートの二相液体(スラリーなど)の高速撹拌後の粉体の沈降などによって強く帯電する場合は除くが,沿面放電が発生するほどに高い表面電荷(250 µC/m2以上)が形成されるかは疑問である.沿面放電が起きるとすれば,電界が高くなる液体,コート,気相の3つが交わる境界のコート面で起こることが多いであろう.