静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

絶縁性タンク・容器

絶縁性材料でできた,おもにプラスチック容器である.

[ハザード]

絶縁性容器は導電性・電荷消散性容器,絶縁性コートが施された導電性容器および導体で囲われた絶縁性容器(IBC)よりも危険であり,次のようなハザードがある.

  1. 等価な大きさの金属容器よりも電位が高くなる.
  2. 漏斗など導電性・電荷消散性物体は絶縁性容器によって絶縁される.
  3. 絶縁性容器表面は摩擦などにより帯電する.
  4. 液体はこの容器によって絶縁されて電荷緩和がない.
  5. ドラムポンプ,漏斗などの導体は,接地されないと絶縁導体となり,静電誘導により火花放電のハザードがある.
  6. フィルタの使用は帯電を促進させて帯電ハザードとなる.
  7. スプラッシュローディング・高速充てんは帯電ハザードとなる.
  8. 絶縁性容器内の液体電荷による電界は容器外側にも形成され,容器の外側でも,ブラシ放電のハザードがあり,絶縁導体があれば静電誘導のハザードによる火花放電ハザードもある.
  9. 接地導体(作業者も含む)が近づくことによる液面からのブラシ放電のハザードがある.液体が導電性の場合は,液体が絶縁導体となり,火花放電ハザードの可能性もある.
  10. 絶縁された作業者も静電誘導により火花放電のハザードがある.
  11. 高導電性液体では,液体が絶縁導体となり火花放電のハザードがある.
  12. 容器壁は摩擦や液体との接触で帯電して,ブラシ放電のハザードがある.
  13. タンク・容器洗浄において厚さ2 mmを越える容器壁では,内部でブラシ放電ハザードがある.10.14.6タンク洗浄を参照.

以上の点から,可燃性雰囲気が形成される場合は絶縁性容器を使用しないこと.

[確認事項], [リスク低減策]

液体の純度の関連などからやむを得ず使用する場合は,次のような静電気対策が確実になされているか確認する.

  1. 充てん・排出中はすべての導体(電荷消散性の物体および作業者も含む)の接地・ボンディングをする.特に,金属製漏斗やディップパイプなどの接地を忘れないこと.
  2. 充てん中に液体を接地できるように,接地ディップパイプ,接地フットバルブまたは容器底の接地金属板などを用いる.
  3. 流速は同等サイズの導電性容器の流速制限を超えないようにする.
  4. 液体排出では,受側容器にも適切な対策が必要であることも当然である.
  5. 容器底近くまでディップパイプを挿入して,液面上部から充てんしないようにする.
  6. 高速混合など高帯電となる工程には用いない.
  7. 作業者人体の接地を靴と床の漏洩抵抗で確保する.
  8. IICまたはZone 0では,絶縁性容器は使用禁止とする.ただし,Zone 0の雰囲気においてサンプリングに絶縁性容器を使用する場合は,1 L以下の容器にする.
  9. Zone 1, 2では5 Lを超えない容器とする.流速は,Zone 2では同サイズの金属容器の流速制限を超えないようにする.Zone 1では1 m/s以下にする.