内面が絶縁性コートされた導電性または電荷消散性タンク・容器
[ハザード]
内面が絶縁性コートされた導電性または電荷消散性タンク・容器は次のようなハザードがある.
- 絶縁性コートと液体の接触により,液体およびコートが帯電ハザードとなる.
- 絶縁性コートは摩擦によっても帯電してハザードとなる.
- 帯電によりブラシ放電および沿面放電のハザードがある.
- 高導電性液体では,液体が絶縁導体となり火花放電のハザードがある.
- 一般に,50 𝜇m以下の厚さの絶縁性コート(たとえば,エポキシコート,塗装など)は高速連続充てんなど帯電の促進要因がないかぎり着火性の放電は発生しにくい.液体が容器底で接地と接触しているならば,この厚さを2 mmまで厚くしてよい.
[確認事項], [リスク低減策]
一般に次のような対策が取られるので確認する.
- タンク・容器は導電性または電荷消散性であるので接地・ボンディングが必要である.
- コートはタンク・容器に密着する.隙間や剥がれがないようにする.
- 液体がコートによって絶縁されるときの電荷緩和は絶縁性コートの電荷緩和となる.したがって,導電率にかかわらず液体は,底部金属バルブや金属ディップパイプなどで接地と電気伝導がとれるようにしておく.接地した金属板を入れておくだけでも有効である*[2].
- 洗浄などのタンク内作業は作業者が絶縁されるので,靴のほかにタンク底部は,たとえば,作業者が歩行する可能性のあるところは,導電性または電荷消散性のコートにして接地するなどの処置が必要である.
- 絶縁性コートのブラシ放電のハザードおよび着火性評価はA.3.13.1を参照する.
- 沿面放電のハザードとなるので,高速充てん,ジェット洗浄などを避けて,コーティングの帯電を抑制する.
- 沿面放電を防止するため,コートの絶縁破壊電圧が4 kV以下となる材料を選定する.
- 絶縁性コートの沿面放電のハザードおよび防止はA.3.13.2を参照する.
* 絶縁容器内に接地金属板を入れて液体と接触させるとよい.このときのこの金属板の面積は0.04V_t m2以上にする[35].ただし,V_tはタンクの容積 (m3)である.