液体充てんのハザード
液体充てんには,次のような帯電ハザードがある.これらは電荷分離を促進または電荷緩和を抑制するので帯電を促進する.
- 低導電率液体を輸送するためのポンプ操作および配管での流動は電荷を発生する.
- 高速充てん・排出は帯電を促進する.
- 液体に溶けずに分離した物質が混在すると,たとえば,水,固体など,その界面で電荷を発生させ帯電ハザードとなる**.さらに,重い物質が沈降しても,電荷分離によって帯電を促進させる***.
- スプラッシュローディングおよび液面より上のトップローディングは帯電を促進する.
- フィルタなど帯電促進させるものが存在する****
- 絶縁性配管・容器の利用
- 導電性液体を絶縁性配管・容器で取り扱うと火花放電ハザードとなる.
[確認事項] 液体充てんの帯電ハザード同定では最低でも次の事項を確認する.
- すべての導体(電荷消散性の物体および作業者も含む)の接地・ボンディングを確認する.
- タンクからバケツまで,すべての大きさのタンクで(10.6.1)の配管流速制限が満たされているか確認する.
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ディップパイプあるいはボトムローディングなど帯電を抑制する適切な充てん方法が採用されているか確認する.
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帯電を促進するフィルタなどがある場合,容器に流入する前に上流部で十分な緩和長が確保されているか確認する.
[事故事例]
小さな可搬導体(サンプリング容器,漏斗など)および作業者からの火花放電が着火源となることが多い.これらを適切に接地する.作業者は靴と床により人体を接地する.
小型容器の充てん(移し替え)は事故事例から着火頻度の高い作業である.
** このような不溶物質が混在する液体では,流速を1 m/s以下にする
*** このような不溶物質が混在する液体液体は静置時間として30分以上確保する
**** タンクに流入するまでに金属接地配管で電荷を緩和させるため,配管で3𝜏以上の滞在時間を確保できるような上流部(>3)にこれらを設置する.この長さが実現できないときは配管内の滞在時間を30秒以上とする.