第31回静電気RA研究委員会・WG
第31回静電気RA研究委員会・WG の備忘録です
袋内で着火したインシデント報告(NTさん)から,疑問:帯電したウエットケーキがPE袋内にあり,袋の外側で接地導体が近づいたとき,袋内で放電するか?
袋の中身は絶縁性のウエットケーキ(帯電している)のみで,袋内で放電したということ.したがって,袋とウエットケーキ間の絶縁物同士の放電となります.導体で起きるような,電荷集中による高電界の発生は難しいです.
ただ,袋を金属ドラムから持ち上げたときに着火したと云うことでしたので,
袋の外側には,作業者の手などの導体があり,これらの導体があるために,袋の近傍の外側で,高電界が発生します.このとき,手と袋の間で,ブラシ放電の可能性がありますが,袋の外側なので、着火は起きないだろう.
この高電界が、袋内に影響して,袋内で放電が起きたというシナリオは考えられないかということで,起きたとして、着火性の放電なのかということの検証実験
MTさんの検証実験
・実験1 絶縁性フィルムを帯電させて,空中に浮かせる(帯電電位10 kV程度).その上に絶縁性シートを載せて球電極を取り付けたクーロンメータを近づけて放電電荷を測定
測定電荷は30-40 nC,袋外側で可燃性雰囲気が形成されていれば,着火可能
付録の実験:絶縁性シートの代わりに帯電防止シートを載せたら,放電しない.
・実験2 絶縁性フィルムを帯電させて,空中に浮かせて(帯電電位10 kV程度),テフロンテープで覆った球電極を取り付けたクーロンメータを近づけて放電電荷を測定
これは,袋内での放電を模擬する実験
放電電荷は数十nC.これは袋外側で接地導体が近づいたとき袋内で放電することを証明し,着火の可能性を示したのかなー この放電電荷は,何を計っているのかー帯電シートと接地電極で電界が形成され,電界の高い接地球で放電が起きている.袋に模擬した球を覆ったテフロンシートがあるので,テフロンシート表面で放電が起きたことになる.つまり,袋の中かな.この論理でよろしいのかなと思う .
この放電が生起するために,球電極を覆ったテフロンテープの絶縁破壊,つまり,袋の絶縁破壊が必須かどうかが議論となった
もう少し実験方法を詰めることになった.これは,
絶縁破壊よりも大きくなるように厚さを選定すればよいように思う.
ガイドにも適用しているリスク低減策ー`If the surface resistance lies below 10^11 Ohms and above 10^8 Ohms, neither brush nor spark discharges have to be expected even though the surface has no direct connection to earth' described on pages 82-83 in the book, Electrostatic hazards in powder handling by Martin.
これの検証実験の報告
NHさんの検証
・遠心分離器の周りに張り付いた製品をかき取る作業のリスク評価
・スクレパーの帯電ハザードの対策
手による摩擦帯電(Manual rubbing)
テフロンスクレパー−>帯電
表面抵抗を改善したもの->帯電電位0 V
TAさんの検証
・実験1 電圧印加点から10 cm離れたところで静電気電位計で電位を測定
実験1,2共に試料は絶縁されて置かれる .
導体は時間遅れなく電位を測定.
帯電防止袋は2から5秒程度遅れて観測 この緩和時間は表面抵抗と接地に対する静電容量で決まりそう 表面電位は同電位とはならず,静電誘導は難しそう.
表面抵抗(表面の電気伝導)が静電誘導にどのくらい影響するのだろうか 定量的に示せないかな.
PETは40秒でも,0.65 kV
・実験2 電圧を印加して,放電するまで徐々に電圧上げて(絶縁破壊試験用の電源),10 cm離れた位置で0.5 mmがギャップとなる球電極を置いて放電するか確認
導体では2 kVほどで放電
帯電防止袋は20 kVまで上げても、放電しない.
十分に放電してもいいはずなのに,なぜだろう? 表面電位は,球電極直下で実は20 kVになっていないのか.再度質問しよう.
PETも同様に20 kVでも、起きない.これは,ブラシ放電も起きないことから,電位が印加点から10 cm離れた球電極直下の表面では20 kVにはなっていないのだろう. 0.65 kVとある.
帯電防止袋は、どのようにして表面抵抗を下げているのだろうか.モデリングするとして,表面層の厚さはどのくらいなのか?どのくらい抵抗率の材料になるのか?