静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

放出源の特定

プラントおよび工程・作業場所で可燃性雰囲気を形成させる可能性がある可燃性物質のすべてを洗い出す.可燃性雰囲気が現場で形成されうるかは後に調査するので,この段階では可燃性物質を網羅的に抽出することを優先する.

チェック項目1 可燃性雰囲気形成の放出源となりうる可燃性物質の洗い出し
チェック項目2 放出源となりうる場所の洗い出し

可燃性雰囲気形成の放出源となりうる可燃性物質はプラントおよび工程・作業場所で使用している可燃性物質である.

静電気着火事故の原因となった可燃物はガス(13%),蒸気(60%),粉じん(12%),ハイブリッド:ガス+粉じん(5%)・蒸気+粉じん(10%)であり,圧倒的に液体蒸気により可燃性雰囲気が形成された事例(70%に相当)が多い.この頻度を可燃性雰囲気形成ハザードレベルに考慮するのも興味深い.これを考慮したなら,可燃性液体を取り扱う作業・工程が静電気着火リスクが高くなることになるが,現状ではしていないので,対策の優先順位をつけるときに考慮されるとよいだろう.たとえば,液体と粉体の工程のリスクレベルが同じとき液体工程を優先に対策するなどである.

放出源の場所は可燃性物質が相当量ある場所であるので,可燃性物質が内在したタンク,ポンプ,配管,容器,袋などがこれに相当する.粉体・粉じんの場合は,粉じん雲を形成している場所あるいは粉じん雲を形成しうる粉じん層が存在する場所がこれに相当する.なお,粉じん雰囲気は粒径が小さな粒子を多く含む粉体ほど形成しやすい.

事故事例からみて漏洩による可燃性雰囲気の形成は無視できない(静電気着火事故の21%は漏洩が原因である)ので,漏洩による可燃性雰囲気の形成ついても考慮して調査する.

作業時のみドレイン,マンホール,排出口などを開放する作業(サンプリング,充てん,投入,排出など)のときにも可燃性雰囲気が形成されて静電気着火が多発しているので,このような作業を実施するときの可燃性雰囲気形成のハザード同定は入念にされたい.

本ガイドは清掃・メンテナンスなど安全管理の基本がなされていることを前提にしているが,管理不足によって生ずる床面の液体・粉じん層なども放出源となるので管理には注意されたい.