静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

可燃性雰囲気形成ハザードの同定法

可燃性雰囲気でないかぎり着火しないので,可燃性雰囲気の有無の調査がハザード同定の第1段階である.何らかの可燃性物質を取り扱っているのであれば,これを放出源とした可燃性雰囲気の形成リスクが潜在すると考えてよい.可燃性雰囲気形成のハザード同定の流れは以下のとおりである.(手短に言えば,工程・作業空間の場所(区域)ごとに求まったExplosion group(着火性)とZone(形成頻度)によって可燃性雰囲気形成ハザードを同定する方法である.)

(1) 放出源の特定
(2) 着火性の調査
(3) 実際の工程・作業空間に可燃性雰囲気が形成される可能性とその範囲を調査
(4) 実際の工程・作業空間に可燃性雰囲気が形成される頻度を調査

(1)では網羅的に取り扱う可燃性物質を洗い出し,可燃性雰囲気形成の放出源となりうる可燃性物質とその可燃性物質が存在する場所を特定する.(2)ではそれらの可燃性物質の静電気による着火性を調査する.(3)では,(1), (2)から実際に現場で静電気放電によって着火可能な可燃性雰囲気が形成しうるかを調査し,可燃性雰囲気が拡がる範囲を調査する.(4)では,可燃性雰囲気が形成される頻度を推定する.以上の手順で可燃性雰囲気形成ハザードが同定される.

次に,これらをもとに,可燃性雰囲気の着火性をExplosion group(ガス・蒸気および粉じん: IIA, IIB, IICおよびIII)を用いてクラス分けする.なお,ガス・蒸気と粉じんとのハイブリッド可燃性雰囲気では危険側となるガス・蒸気可燃性雰囲気と同等にする.さらに,可燃性雰囲気の形成頻度はZoneを用いて同定された可燃性雰囲気をクラス分けする.たとえば,図14.1に示すように,場所ごとにExplosion groupとZoneを同定することになる.この2つのクラス分けの組合せ(表3.4)によって,工程・作業空間の場所(区域)ごとに可燃性雰囲気形成のハザードレベルが決定され,可燃性雰囲気形成ハザードを同定している.