静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

ガイド「静電気リスクアセスメント」

リスクアセスメント(以下,RAと略記)は,災害防止対策を漏れなく効果的・合理的に実施するための手法でもあり、今や,災害防止技術のグローバルスタンダードになっている。我が国でもRA実施が法的に義務化され,RAへの支援と取り組みが加速化している.それは,災害防止への取り組みが,安全・安心の支柱となり,社会の持続的発展の基盤ともなる文化であるからで,歴史から学んだ智恵と省察,理性から創出された科学と技術に基づいて災害防止対策が不断なく実施されている.静電気が原因となって発生する災害も,科学技術の進歩,新材料の誕生などとのかかわりあいが深く,これに対する災害防止技術として,静電気ハザードの診断からリスクの評価,防止対策の効果・評価までを総合的に取り組むRAのためのガイドも不可欠であることは申すまでもない.このような背景から,静電気RA手法を確立し,ガイドをまとめる研究に着手した.この研究には,海外からの協力も得て,まとめる段階においては現場への適用も度々試みた結果,研究成果であるガイド「静電気リスクアセスメント」は,静電気災害未然防止に有効なことが確認された.多分,世界初の唯一無二の静電気災害未然防止に関するガイドである.

静電気着火リスク分析手法は災害・事故調査で静電気の原因を究明する際に私が用いている静電気着火のフロー(シナリオ)に基づいた方法(ガイドの図2.2 静電気着火のフローによるハザード同定)がベースとなっている.リスク分析手法の主要部では,必要な静電気対策が的確になされているか,また,なされていないかを明確化するために対象の工程・作業を調査し,静電気着火ハザードの抽出の準備(必要なデータの収集)をし,(1) 可燃性雰囲気,(2) 帯電, (3) 静電誘導,(4) 静電気放電のハザードを順に調査してそれぞれのハザードレベル(ハザードが生起する確率として定義する)から静電気着火ハザードレベルが決定される.この静電気着火ハザードレベルと予測できる危害のひどさの組み合わせから静電気着火リスクが見積られるようにしている.静電気安全の基礎をある程度まで理解できている安全管理者が,ガイドに示す手順(30のチェック項目)にしたがって科学的に矛盾がなく容易に各ハザードレベルを決定できるように工夫している.このRA実施のためのスプレッドシートを用いたリスクアセスメントシートも用意している.また,ガイドには最新の静電気対策も含めてリスク低減策を網羅している.

RAのコンセプトに従うと,静電気着火に至るハザードを漏れがないように同定することが重要であり,同定されたハザードによるリスクを適切に見積・評価する必要がある.さらに,リスクの低減は,可燃性雰囲気の形成を防止すること,静電気放電の原因となる帯電を防止すること,または,着火性放電を防止することによってなされるので,対応する静電気対策を適切に実施しなければならない.このためには静電気現象の基礎を修得する必要もあろう.その意味で,このガイドには静電気基礎の解説も含め,静電気RAを確実に実施するための手法を示している.ここに紹介したガイドを積極的に活用していただき,これが静電気災害を未然防止するための有効なツールとなることを切望する.

ガイドはここ からダウンロードできます.

この静電気リスクアセスメント手法の手順に沿ったリスクアセスメントシートは.ここ からダウンロードできます.