大型導電性タンクー浮き屋根タンク
大型導電性浮き屋根タンクは,10.7の充てんのハザードおよび10.8.1のタンク・容器の一般的な対策を確認する.
[確認事項]
低導電率液体の浮き屋根タンク充てんには次のような静電気対策が必要である.これを満たしているか確認する.浮き屋根の代わりとなる内部導電性カバー(インナーフロートカバー)も同様に取り扱う.
- 浮き屋根が十分に浮くまでの流速は1 m/s以下にする.
- 浮き屋根が十分に浮いた後の速度は制限なし.ただし,浮き屋根が損傷しないように速度を制限する.
- ただし,不溶物が混在する場合は,充てん終了まで1 m/s以下にする.
- フィルタなど帯電促進させるものがある場合は十分な緩和長($>3¥tau v$)を確保できる上流部にこれを設置する.
- 浮き屋根の電気的絶縁は火花放電ハザードとなる.インナーフロートカバーも同様.
- インナーフロートカバーを用いた固定屋根タンクのフロートカバー上部の気相部は可燃性雰囲気を形成する可能性がある.
- 多数の浮き球で液面を覆い,可燃性蒸気の低減に用いられることがあるが,絶縁導体となるので高導電率液体以外には用いないこと**
** [事故事例] 可燃性雰囲気の防止に泡を液面に撒いて火花放電の着火による火災事故事例もある.泡は導電性なので,絶縁導体となる火花放電ハザードと,沈降による帯電ハザードがある.