静電気イノベーションズ

静電気リスクアセスメント,ハザード同定,静電気対策のこと...

帯電ハザードの洗い出し

帯電ハザードとなりうる物体をすべて抽出し,その場所を特定する.

チェック項目10 電荷分離が起きていて,電荷緩和が小さい物体・場所の洗い出し

チェック項目11 帯電したものが相当量蓄積されている物体・場所の洗い出し

チェック項目12 チェック項目10, 11より,帯電しうる物体とこれがある場所を特定する

帯電ハザード抽出のヒント

  1. 異種の物質でできた物体が接触・分離すると一方が正に他方が負に電荷分離する.この物体には電荷分離した分だけ電荷が蓄積されるが,電荷緩和が大きいとこの電荷緩和で発生した電荷の多くが消滅し,物体が大きく帯電することはない.多くの産業工程にみられる帯電は接触,摩擦,衝突,はく離,流動,撹拌,混合,噴霧・噴出,沈降・浮上,粉砕,滴下(しずく)などの伴う接触・分離の際に起こるので,付録A.2を参照して帯電ハザードの場所を洗い出すとよい.
  2. 電荷分離が起きていて,電荷緩和が小さい物体とその箇所(たとえば,低導電率液体の接地金属配管輸送,高導電率液体の絶縁性配管輸送,高抵抗率粉体の空気輸送など),また,電荷蓄積(帯電)した物体が相当量集まっており電荷緩和が小さい箇所(充てん直後の容器・袋類内の絶縁性物質など)を,工程・作業に照合させて探していけば帯電物体を特定できる.
  3. 電荷分離が起きている箇所は異種の物質が接触・分離する場所であるので,
    液体,固体,粉体が流動,噴出・噴霧,はく離,衝突,摩擦している場所である.また,蓄積される電荷接触面積と速度に依存する.
  4. 電荷緩和が小さいということは,蓄積された電荷が接地(大地)へと漏洩される電流が小さくなることである.このとき漏洩抵抗が高くなっていることを意味しており,これにより電荷緩和が抑制される.具体的には,導体が規定漏洩抵抗(5.2.3.1)で接地されていない,または,接地されていても物質自体の抵抗率が高い(導電率が低い)ということであり,前者は導体の漏洩抵抗によって,後者は使用しているものが静電気的に絶縁性物体(低導電率または高抵抗率物体)であるかによって帯電ハザードを抽出できる.
  5. また,タンク,サイロ,ホッパー,ドラム,袋などの容器・袋類内に帯電した物体が相当量蓄積されるときも帯電ハザードとなる可能性が高いので,その場所も特定する必要がある.